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宇宙旅行の話題では、筋肉の減少や骨密度の低下といった体への影響がよく知られていますが、宇宙空間の放射線、特に銀河宇宙線(GCR)が脳にも深刻な影響を与えることが明らかになってきました。GCRは主に超新星爆発や銀河系外のエネルギーイベントから発生する高エネルギー粒子で、宇宙船のシールドを通過し、人間の認知能力に影響を与えることがわかっています。 NASAのCuriosityローバーが火星へのフライト中にGCRを測定しましたが、特に長期宇宙ミッションにおいて、GCRは深刻な問題です。最近の研究では、GCRの影響が短期的なものに留まらず、長期的にも脳にダメージを与えることが示されています。この実験はブルックヘブン国立研究所で行われ、33種類のイオンビームを使って宇宙放射線をシミュレートし、中央神経系の機能に影響を与えることが確認されました。 研究チームは、GCRが記憶力、パターン認識、不安、社会的行動、運動機能などに悪影響を与えることを発見しました。さらに、女性マウスの方が男性マウスよりも強く影響を受けるという意外な結果が得られ、抗酸化作用や抗炎症作用のある薬剤であるCDDO-EAを与えられたマウスでは、影響が軽減されることもわかりました。この発見は、今後の宇宙探査において重要な示唆を与えるとともに、放射線が人間の脳に与える長期的な影響を理解するための手掛かりとなります。 【火星への旅が脳に与える影響とは?銀河宇宙線の脅威】の続きを読む