星々の語り~宇宙&最新技術情報まとめ~

当サイトは、宇宙や最新技術の情報についてまとめています。
海外(主にNASA/ESA関連)の宇宙活動に関する記事(日本語要約あり)を配信しています。

科学



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2029年4月、かつて地球への衝突リスクが懸念された小惑星「アポフィス」が地球からわずか32,000kmの距離を通過します。この距離は一部の衛星の軌道よりも近く、観測史上、同規模の天体としては最も接近するものです。アポフィスは全長約340メートル、重量2,000万トンで、エジプト神話の混沌の神「アポフィス」にちなんで名付けられました。 当初、2029年と2036年に地球との衝突リスクが指摘されていましたが、最新の観測により衝突の可能性は排除されました。しかし、NASAの宇宙探査機OSIRIS-APEXは2029年にアポフィスに接近し、地球の重力が小惑星の軌道や回転に与える影響を調査する計画です。これにより、小惑星防衛に関するデータが得られ、将来的な衝突リスクへの対応に役立つと期待されています。 NASAや欧州宇宙機関(ESA)は、近地球小惑星の衝突リスクに対する防衛戦略を開発しており、NASAのNEO Surveyor Missionは2028年までに打ち上げ予定です。これにより、直径140m以上の天体の90%以上を10年以内に検出できるとされています。 小惑星衝突への対策としては、「キネティックインパクター」や「重力トラクター」、さらには核爆発による軌道変更が提案されています。これらの技術はすでにNASAのDARTミッションで成功を収めており、将来的な衝突回避が現実的な目標となっています。 【地球防衛の鍵?アポフィス小惑星の2029年接近で学ぶ教訓】の続きを読む



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1859年に起きた最強の地磁気嵐「キャリントンイベント」は、地球の通信システムに大きな影響を与えました。当時は電力依存が少なかったため大きな被害は避けられましたが、現代で同規模の太陽嵐が発生すれば、世界的な大規模停電や通信インフラの崩壊など、壊滅的な影響をもたらすでしょう。特に、2025年に予測される太陽活動のピークに備えた予測技術の開発は急務です。 この解決策として注目されているのがAI技術です。NASAはAIを活用した予測モデル「DAGGER」を開発し、太陽嵐による地磁気擾乱を30分前に予測することが可能となっています。さらに、欧州のプロジェクトでもAIを使った太陽嵐予測の研究が進行中で、物理モデルよりも早い予測が期待されています。しかし、AI技術はまだ完璧ではなく、過去の大規模イベントのデータ不足やモデルの信頼性の問題が残ります。 AIが太陽嵐予測において有用なツールになる可能性は高いものの、今後は現行の予測方法と比較して信頼性を証明する必要があり、完全な導入には慎重なアプローチが求められています。現在の研究が進めば、将来のキャリントン級の太陽嵐に対しても、AIがその影響を事前に予測し、被害を軽減する重要な役割を果たすかもしれません。 【AIで太陽嵐予測は可能か?技術の現状と課題】の続きを読む



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今週末、米国の多くの地域でオーロラが観測できる可能性が高まっています。これは、今週初めに太陽から48時間の間に発生した2回の強力なフレアによるものです。NOAA(米国海洋大気庁)の宇宙天気予報センターは、G3規模の地磁気嵐が発生するとの警報を発令し、北部州や中西部、さらにはオレゴン州までオーロラが見られる可能性があると発表しました。 太陽フレアは、太陽の爆発によって発生する高温ガスと磁場を伴うエネルギーが地球の大気に入り、酸素や窒素などの大気中のガスと衝突することで、光を放出し美しいオーロラを生み出します。今回のフレアは太陽の中心部から発生しており、土曜から日曜にかけて地球に到達する見込みです。晴れた夜空で街灯の少ない場所が、最高の観測スポットになると予想されています。 この現象は美しいだけでなく、一部の通信インフラにも影響を与える可能性があります。NOAAは、高周波無線通信が一時的に途絶えることがあると警告していますが、ほとんどの影響は対応可能な範囲としています。現在、太陽活動は11年周期の最大期に達しており、今後もオーロラの発生が増えることが期待されています。 【ダブル太陽フレアで米国にオーロラ出現の週末】の続きを読む



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宇宙旅行の話題では、筋肉の減少や骨密度の低下といった体への影響がよく知られていますが、宇宙空間の放射線、特に銀河宇宙線(GCR)が脳にも深刻な影響を与えることが明らかになってきました。GCRは主に超新星爆発や銀河系外のエネルギーイベントから発生する高エネルギー粒子で、宇宙船のシールドを通過し、人間の認知能力に影響を与えることがわかっています。 NASAのCuriosityローバーが火星へのフライト中にGCRを測定しましたが、特に長期宇宙ミッションにおいて、GCRは深刻な問題です。最近の研究では、GCRの影響が短期的なものに留まらず、長期的にも脳にダメージを与えることが示されています。この実験はブルックヘブン国立研究所で行われ、33種類のイオンビームを使って宇宙放射線をシミュレートし、中央神経系の機能に影響を与えることが確認されました。 研究チームは、GCRが記憶力、パターン認識、不安、社会的行動、運動機能などに悪影響を与えることを発見しました。さらに、女性マウスの方が男性マウスよりも強く影響を受けるという意外な結果が得られ、抗酸化作用や抗炎症作用のある薬剤であるCDDO-EAを与えられたマウスでは、影響が軽減されることもわかりました。この発見は、今後の宇宙探査において重要な示唆を与えるとともに、放射線が人間の脳に与える長期的な影響を理解するための手掛かりとなります。 【火星への旅が脳に与える影響とは?銀河宇宙線の脅威】の続きを読む



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NASAのVoyager 2は地球から約128億マイル離れた場所で、限られた電力を使いながら探査を続けています。2024年9月、NASAは電力を節約するためにプラズマ科学計器を停止しましたが、残りの4つの計器は依然として稼働しており、少なくとも2030年代までの運用を目指しています。この計器は、太陽から放出される電気的に帯電した粒子の測定に使われていましたが、近年のデータ収集は制限されていたため、停止が決定されました。 Voyager 2は1977年に打ち上げられ、数十年にわたり太陽系外の探査を行ってきました。NASAは、プルトニウムの崩壊から発生する熱を電力に変換するシステムを利用し、電力の減少を抑えるために、すべての不要なシステムを停止しています。最近では、プローブの電圧監視方法を調整し、さらに電力を節約するための対策が施されています。 このミッションは、ボイジャーが太陽系の外で収集するデータが唯一無二であり、NASAは可能な限り探査機の運用を維持し続ける方針です。今後も、プラズマ波システムを利用して、太陽からのエネルギーが宇宙空間にどのように影響を与えているかを研究する予定です。これまでに、Voyager 2は太陽圏を超えて星間空間に到達したことが確認されていますが、その重要な発見もこの計器によってもたらされました。 【約128億マイル離れたVoyager 2、電力節約で2030年代まで運用継続】の続きを読む

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