星々の語り~宇宙&最新技術情報まとめ~

当サイトは、宇宙や最新技術の情報についてまとめています。
海外(主にNASA/ESA関連)の宇宙活動に関する記事(日本語要約あり)を配信しています。

火星



【トップ記事のサマリ】
NASAが計画する火星有人ミッションでは、従来の化学燃料ロケットでは片道に数ヶ月かかるため、より高速な「核熱推進(NTP)」が注目されています。NTPは核分裂による膨大なエネルギーを利用し、化学ロケットの約2倍の推進効率を持ち、火星への到達時間を半分に短縮する可能性があります。 NTPエンジンは、水ではなく高温で作動する特殊な燃料を使用し、核分裂反応でプロペラントを加熱し、それを噴射して推力を得る仕組みです。この技術は既に原子力発電や原子力潜水艦で確立されていますが、ロケットに応用するには、低濃縮ウラン燃料を用い、エンジンの軽量化や耐久性など、設計における多くの課題が残っています。 NASAとDARPAは、2027年にNTP技術の実証試験を予定しており、宇宙探査の新たな一歩となることが期待されています。ジョージア工科大学の研究グループは、シミュレーションを通じてエンジン設計の最適化を進めており、将来的にはこの技術が火星探査だけでなく、宇宙防衛システムにも応用される可能性があります。 【火星まで半分の時間で到達可能?—核エンジンの挑戦と課題】の続きを読む



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火星の過酷な環境に適応するために、長期探査ミッション向けの革新的なバッテリーが中国の科学技術大学のPeng Tan教授とXu Xiao博士によって開発されました。この「火星バッテリー」は、火星の大気中に多く含まれる二酸化炭素を燃料源として活用し、軽量化に成功しています。バッテリーは放電後、火星表面で収集した太陽エネルギーを使って再充電が可能で、繰り返し使用ができる設計となっています。 火星の低温環境でも効率的に動作し、エネルギー密度は最大373.9 Wh kg⁻¹に達し、約2ヶ月間の連続稼働が可能です。バッテリーの仕組みは、リチウム炭酸塩の生成と分解に依存し、酸素や一酸化炭素といった火星の大気中の微量ガスが反応を促進します。電極のデザインやセルの構造を工夫し、反応効率を高めることで、エネルギー密度はさらに765 Wh kg⁻¹に向上しました。 このバッテリーは、火星でのエネルギーシステムに革命をもたらす可能性があり、研究チームは今後、固体電解質型の火星バッテリーの開発に取り組み、さらなる性能向上を目指しています。将来的には、多様なエネルギー源を組み合わせたシステムの実現が、火星での持続可能なエネルギー供給に貢献することが期待されています。 【長期火星探査向け高エネルギー密度バッテリーが登場—現地大気を燃料源に活用】の続きを読む



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宇宙飛行士が深宇宙を長期探査する際、全ての食料をフリーズドライ食品で持ち込むのは現実的ではありません。宇宙船内での栽培技術もまだ成熟していないため、新しい食料源が必要です。最近発表された研究では、未来の宇宙飛行士が小惑星から食糧を生み出せる可能性があると示唆されています。 このプロセスでは、小惑星の物質を化学的・物理的に分解し、得られた有機化合物を細菌に食べさせ、最終的にその細菌(バイオマス)を食糧とする仕組みです。このアイデアは、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)の「ReSource」というプロジェクトに端を発しています。廃棄物を食糧に変える研究の一環で、宇宙空間での食糧問題の解決にも応用できると期待されています。 研究では、NASAの探査機OSIRIS-RExが持ち帰った小惑星「ベンヌ」をモデルに、食糧を作る可能性を計算しました。ベンヌの炭素量から、細菌を使った食糧生産が理論的に可能であることが示され、最悪の条件でも1年間で1人の宇宙飛行士を養うには約5,500トンの小惑星物質が必要です。 ただし、この技術が実用化されるには、宇宙空間での細菌の振る舞いなど多くの課題が残っており、実現には時間がかかるとされています。 【将来の宇宙食は岩石がベース?小惑星から食糧を生み出す研究】の続きを読む



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NASAのCuriosityローバーは、2012年に火星のゲールクレーターに着陸してから約12年が経過し、32km以上を走破しました。その間、ローバーの6つの車輪には大きなダメージが蓄積しています。最近、2024年9月22日に撮影された画像では、右中車輪に新たな裂け目や深い傷が確認されました。しかし、NASAのジェット推進研究所(JPL)のエンジニアによると、車輪が損傷してもローバーは正常に機能しており、引き続き火星探査を続けています。 Curiosityの車輪には、2013年頃からダメージの兆候が見られていました。ローバーが火星の険しい地形を転がる1トンの重量を持つため、この損傷は予想の範囲内でした。2017年には、JPLの技術者が新たなソフトウェアを導入し、車輪の速度を調整するアルゴリズムを使用して、車輪への負荷を軽減しました。これにより、損傷の進行が遅くなりましたが、車輪の定期的な損傷は避けられない状況です。それでも、Curiosityは火星の過酷な環境で微生物が生息できた痕跡を探し続けています。 【Curiosityローバー、車輪に深刻なダメージも引き続き火星探査を継続】の続きを読む

Robotic Badger-Like Bioreactors Could Help Colonize Solar System

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エディンバラ大学のチャールズ・コケル教授は、微生物を活用した宇宙探査の未来を提案しています。地球の鉱業で利用される微生物をバイオエンジニアリングし、月や火星、さらには木星や土星の氷衛星で、資源を抽出する技術の可能性を指摘。これらの「バッジャー型ロボット」に搭載された微生物は、地球外環境で岩石を処理し、金属や有機材料を抽出する役割を果たします。微生物は有機物を処理し、建築資材やプラスチックなどを製造できる素材に変える力を持ち、これによって宇宙探査のコストや時間を大幅に削減できるとされています。さらに、この技術は将来的に自給自足の宇宙植民地建設にも貢献する可能性があり、太陽系の資源を利用して、人類が他惑星で長期的に生活する道を開くかもしれません。 【微生物搭載ロボットが太陽系の開拓を加速】の続きを読む

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